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『――こうして、お姫様は幸せになりました。めでたしめでたし』
おとぎばなしがそんな結末ばかりではないと気づいたのは、いつだったろうか。
育ての親である青年が子守唄代わりに話してくれたのは、幸せな、心が温まるような話ばかりで、切なくなるような、哀しい結末のものはなかったように思う。
彼なりに気を遣ってくれていたのかもしれない。
お世辞にも幸福とはいえない身の上の自分が、せめて夢の世界では幸せであるようにと。
『ねえ、おひめさまはずっとずっと、しあわせにくらしたの?』
『ええ。王子様と一緒に、ずっと、幸せに暮らしたんですよ』
『じゃあ……わたしもおひめさまだから、いつかしあわせになれるのかな?』
『――そうですね。きっと、幸せになれると思いますよ』
「……うそつき」
こんなことになるなら、気遣いなんていらなかった。
哀しい話をして、この切なさに耐えられるだけの強さを、与えて欲しかった。
かの人は、ずっと、ずっと――最後まで、残酷なくらい優しくて。
別れの時には、顔すら見せてくれなかった。
引き止める言葉をかける隙も、与えてくれなかった。
――あなたがいなくちゃ、私は幸せになんてなれないのに、どうして。
心の中で呟いて、風に揺れる青い髪を思い出す。
こぼれた雫の落ちる音が、静かな空間に波紋を広げた。
―――――――――――――
たまには風←千。
悲恋ルートですが。
誰かの膝に座ってお話を聞くちび千尋ちゃん妄想が止まりません。
おとぎばなしがそんな結末ばかりではないと気づいたのは、いつだったろうか。
育ての親である青年が子守唄代わりに話してくれたのは、幸せな、心が温まるような話ばかりで、切なくなるような、哀しい結末のものはなかったように思う。
彼なりに気を遣ってくれていたのかもしれない。
お世辞にも幸福とはいえない身の上の自分が、せめて夢の世界では幸せであるようにと。
『ねえ、おひめさまはずっとずっと、しあわせにくらしたの?』
『ええ。王子様と一緒に、ずっと、幸せに暮らしたんですよ』
『じゃあ……わたしもおひめさまだから、いつかしあわせになれるのかな?』
『――そうですね。きっと、幸せになれると思いますよ』
「……うそつき」
こんなことになるなら、気遣いなんていらなかった。
哀しい話をして、この切なさに耐えられるだけの強さを、与えて欲しかった。
かの人は、ずっと、ずっと――最後まで、残酷なくらい優しくて。
別れの時には、顔すら見せてくれなかった。
引き止める言葉をかける隙も、与えてくれなかった。
――あなたがいなくちゃ、私は幸せになんてなれないのに、どうして。
心の中で呟いて、風に揺れる青い髪を思い出す。
こぼれた雫の落ちる音が、静かな空間に波紋を広げた。
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たまには風←千。
悲恋ルートですが。
誰かの膝に座ってお話を聞くちび千尋ちゃん妄想が止まりません。
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