遠い

流れる雲を追いかけて
果ての見えない明日を想う

君の見ている空は　何色なんだろう？

ここには何もないから

ほら、君の手を掴んでいられる
離れないように気をつけて
離さないように気をつけて

ほら、君は確かにここに居るんだ

君が笑ってくれるなら

他には何もいらないと
何もいらなくなると
そう思っていたのに

それ以上を求めてしまう
鍵をかけることもできないまま

願いはきっと

君は今、何をしているんだろうか。
手を伸ばせば届く距離にいた君が、ひどく遠い。
声は聞こえるのに、近くにその姿がない。
それが不安で、仕方がない。

『――どうしたの？』

不意に、彼女が問いかけてきた。
しばらくの間、黙ってしまっていたらしい。

「あ、いや……すまない」

慌てて謝れば、くすくすと笑う声が聞こえてきた。
寂しかったんでしょ、という指摘を、肯定する。

「……会いたいな、君に」
『大丈夫。夏休みになったらすぐにとんでっちゃうから』

自信満々に宣言する彼女が可愛らしくて、思わず頬が緩む。
そうだな、と返せば、元気な返事が鼓膜をくすぐった。

――すぐに会える。
君が言うから、本当にそうなるように思えてくる。
心を支配していた愁いも、どこかにいってしまった。

――すぐに会える。
君が、そう信じているのなら。
きっとその願いは、叶うのかもしれない――。

――――――――――――

月森留学後の月日。
月森は、ふとしたときに、日野ちゃんの言葉に支えられてればいいと思う。
ちなみにBGMは『WITHOUT END』でした。

言葉は要らない

君が傍に居てくれるのなら
それでいい